日常生活に輝くこころ(スタッフのつぶやき)

「愛する家族の食事を作ることができる・・・」


庭のアジサイが雨に濡れて一段と美しさを増していますが、あじさいのように日々色を変えて揺れ動く心は今日何色でしょうか?
そして心の風船は膨らんでいますか?

先日あるがん患者さんと話をする機会がありました。
中年の彼女は発病以来入退院を繰り返し3年ほどになるそうですが、玉川温泉に湯治に行ったりしながら、今はどうにか普通の暮らしが出来ているとのこと。共働きで忙しく過ごしているときは、「どうして家族の中で自分だけが毎日毎日終わりのない家事に追われ、ゴキブリのように台所や家の中を這い回るようにして、仕事のほかに、食事や洗濯物に追われる毎日を過ごさなければならないのだろう。」と不満に思っていたけど、がんに罹ってあまり先が長くないかも・・・・と考えるようになってからは、一日一日が大切な日々だと思うようになりました。

台所に立って家族の食事の支度が出来る幸せ、自分の食べたいものを自分で作って、おいしいと感じて食べる幸せ、がんとはいやな病気だけれどマイナスばかりじゃない。今まで気がつかなかった幸せに気づかせてもらって、がんという病気に罹ったからこそ味わえた幸せもあります。と話してくれました。

病気をする前と、今と、なにも環境は変わっていないのに、受け止める心が変わっただけで同じ食事の支度をするのに、こんなにもいそいそ前向きになれるなんて・・・・・・と驚きました。
人生で何か大きな出来事にぶつかると、それを乗り越えていくなかで、人はまるで生まれ変わったかのごとく大きく変わることができます。
しかし、「そんなに大きな出来事にはめったにぶつからないし、また本当はぶつかりたくもない。」というのが本音です。

今まで生きてきた中で、それぞれ心の奥底に大きく、あるいは小さくだけれど、人には決して言えずに、どうにかしたいと思っているわだかまりのようなものや、あるいは、重大な病気に罹って予後もあまり良くはないように医者からは言われているが、まだ子供も小さくて、この子供たちを残しては死ねない。病気のことを考え始めると夜も眠れない。・・・・・・そんな胸につかえている苦しみの感情を思い切り吐き出し、それを共感してくれる仲間がいたら、どんなにか幸福感に包まれることでしょう。

人は誰でもどんな時でも、ありのままの自分を認め、それを受け止め、愛してくれる人に出会うと、心から安らぎ、穏やかになり、生きる勇気が湧いてくるものです。
LDTワークショップはそんな苦しみや、わだかまりの感情を吐き出し、楽に生きられるようにする為に存在します。
このワークショップの創始者であり、今、病の床からやっと少し元気を取り戻してきたエリゼベス・キュプラ・ロス博士に会うため、私たちは6月末アメリカ・アリゾナにいる博士に会いに行く予定です。
 投稿者  たえちゃん (LDTワークショップスタッフ。元千葉大学医学部臨床検査学)